【怖い話・短編】
【怖さ 6】★★★★★★☆☆☆☆
『クラシマヒサユキ』【怖い話・短編】【怖さ6/10】
部屋に入ったら臭いわガス止まってるわ、で、大量の黒い小さな甲虫&ゴミ山の中に腐乱猫ハケーンでしたorz
それで前から書きたかった、昔話読んでください。
ひさゆき?ヒサルキ?
そういうのがネットの都市伝説っぽくなってるみたいですね。
私も昔の記憶の中にその名前覚えがあります。
動物好きな人には不快な話。飛ばしてください。
家出をしてしまって、帰っては来たのですが、妊娠してしまいました。
それで仔猫が生まれて、私と弟は必死になって貰い手を捜したんです。
小学校の生徒に学年構わず猫いらない?って聞きまくりました。
そして6匹生まれた仔猫は、だんだんと貰い手がつきました。
子供全部もらわれるのは母猫がかわいそう、ってことで、
一匹だけ家で飼うことになったんです。
子猫たちもおっぱいからご飯になって、トイレも自分で出来るようになって、
いよいよ一匹二匹と貰われていき、うちで飼う事になった一匹除く、
オスメスきょうだいの仔猫二匹も、
ある日、急にお迎えが来ました。
猫を迎えに来たのは見知らぬ男の子でした。その時間、家には私と弟だけでした。
「Aが貰ってこいといった」と彼はやってきました。
それより上にも下にも見えない、だからAさんの5年生の弟なんだ、そう思ったんです。
Aさんとは同級生でしたが、普段あまり話したことはなく、
その弟が説明もなしに私の自宅まで急に来たので、
よく家がわかったなぁ、と不思議には思いましたが、その時はそれだけでした。
男の子は仔猫を見て、うれしそうでもなく箱に入れて帰りました。
すごく嫌な感じがしました。
翌日。
学校へ行った私は、Aさんに猫の事を聞いてみました。「どうしてる?」って感じで。
するとAさんは、何故か私を避けるように、適当な返事をして何処かへ行ってしまいました。
それから話しづらくて、何週間か経ってしまいました。
せっかく猫もらってくれたのに、変だなぁ、可愛がってもらってるのかな?
と、とても気になりました。
そのころ、私は持病があって、
週に2回病院に行く為学校を抜けて母と街を歩いていました。
ある日、クリニックに近い繁華街を歩いていると母が、
「あ、Aちゃんいるよ。学校どうしたんだろう」と言いました。
見ると、Aさんと、あの男の子が歩いていました。
男の子が先になってどんどん歩いて、Aさんはしょんぼりと歩いていました。
その男の子が振り返って、Aさんの頭を殴りました。
私の母の顔色が変わって、Aさん達のところに駆け寄ると、
「あなた、何してるの?この子叩いて。Aちゃん今日学校どうしたの?」
などと問い詰めました。
男の子は、びっくりするような声で、ババァ、とか殺すみたいな捨て台詞で、
逃げていってしまいました。
Aさんは泣いてるし、何か事情ありそうだし、無理に家に連れて帰るのも、と、
私たちは3人で、近くの喫茶店に入りました。
Aさんは、下を向いて何もいわないので、
「あの子はAさんの弟だよ。」と代わりに私が答えました。
すると母はすごい目で私を睨んで、
「バカなこと言うんじゃないの。あの人は大人の男の人でしょう」
びっくりしたのは私のほうでした。母なにいってるんだろう?と思いました。
「Aさん、あの子は弟だよね、猫とりに来たもんね。」
すると母は、なにアンタも知ってる人だったの?なんなのあの人?説明しなさい!
とか怒り出しました。
Aさんは、私の母に一緒にトイレに行って欲しい、と言いました。
泣いてばかりなので仕方なくAさんと連れ立って母はトイレに行きました。
随分長く、二人は帰ってきませんでした。
私も不安になり、もう限界だーっと思った頃、母とAさんは席に戻って来ました。
Aさんも母も青い顔をして、何も話さず、店を出て、
家に帰るのかと思ったら、私だけ家に置かれ、母とAさんは何処かへ行ってしまいました。
母が帰ってきて、私はAさんのことを尋ねました。
「あの人は親戚なんだって、一緒に住んでいるらしい。でもおかしな人だから、
あんたは絶対関わっちゃダメ」と言いました。
「何年生?」と聞くと、
「だから子供じゃないって言ってるでしょ!」と怒り出し、私はそれ以上何かを聞く事は出来ませんでした。
見覚えのある、あの男の子にあげた猫たちでした。
でも、うちにいた兄弟猫はもっと大きくなってる。
玄関に置かれた猫の首は、まだ小さく、貰われたときと変わらないほどでした。
両親は学校に電話したり、なにか相談しあったり、家の中がおかしな空気になりました。
そんな時、弟が、
「おれ【ひさゆき】と話した」
と言い出しました。 ひさゆき、それがあの男の子の名前でした。
「どこで?」「学校で」
ひさゆきは、あの猫たちは私たち姉弟の身代わりになったといった、
本当は私たちが事故で死ぬ筈だった、助けるには、なにか一番大切なものを壊さなければいけないといった
弟はそう話し、なにかすっかり【ひさゆき】が好きになってしまったようでした。
私はもう6年だったし、それが異常な話なのはわかりました。
学校を休みがちになったAさんを見かけ、無理やり話しかけました。
「あの子は本当は子供じゃないの?なんなの?」とかそんなことを。
すると、「ひさゆきは子供じゃない、ひさゆきはひさゆきで、私とも関係ない」
急に怒り出し、私は突き飛ばされて叩かれて、喧嘩みたくなってしまって終わりました。
そしてそれから、今に至るまでAさんとは会っていない。
家族みんな引っ越した、とか、精神病院にはいっている とか、
不穏な噂が学年で流れ、「ひさゆきに連れて行かれた」という学校の七不思議みたいな感じになりました。
可愛そうな猫たちの事は時々思い出しましたが、今となっては本当に私たちの猫だったのかも不確かです。
ネットで「ひさゆき・ヒサルキ」の話題がチラチラしだし、昔の不気味な思い出が蘇りました。
最近になって母に、あのときの事を聞いてみました。
Aさんから何か話を聞いたのかとか。
母がAさんから聞いた話は、
【ひさゆき】はAさんの親戚とかではなく、暴力を振るわれている。
(どんな種類の暴力だったのかは、母の口ぶりで察しました)
心配した母は、学校に相談したり、Aさんの家庭に介入したりしたのですが、
何ら出来ることなく、Aさん一家はいなくなってしまったのだとか。
「あの子は、私たちには子供に見えていたけれど、お母さんは変だと思ったの?」
そう聞くと、
「どう見ても子供じゃなかったよ、体は非常に小柄だったけれど」
母にしてみれば変質者とかその類に見えていたと。
【ひさゆき】が学校で話題になっていた頃、ひさゆきと遊んだ子はちょっと自慢、
一過性だったけど、半年くらい、「ひさゆきブーム」みたいのがありました。
クラシマヒサユキ それが私の知っていた子のフルネームでした。
これでおわりです。
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