元スレ: ほんのりと怖い話スレ その115 [無断転載禁止]©2ch.net
【時空のおっさん】
【不思議な話・短編】
【不思議さ 6】★★★★★★☆☆☆☆
『びにーるてーぷ』【時空のおっさん】
「怖いといってもいい」というのは、怖かったといえば怖かったけど、一点解らない点があり、そっちが上回っているから。
原因は夢遊病か統失でも構わないんだけど、どうしてもそれが解らない。
昨日、未明に目が覚めて、眠かったけど出社しないといけないので、目を覚まそうとベランダに出た。
うちのベランダは、隣のマンションのベランダと、ちょっと高さが違うが隣り合っている。
その隣のベランダの隅っこに、運動会なんかで使う赤旗がはためいてた。
何気に視線を向けると、向うのベランダが腰高分、高いせいで旗の根元に目が言った。
「脚だけ」が旗の横に立っていた。
声にならない悲鳴が出て、逃げようと思ったが、その時「一部分だけはっきり見えている霊は、不明瞭な霊なんかよりもずっと危ない」という、謎のトリビアが頭に浮かんだ。
「このままにしておくのは不味い」と思い、なぜか知らないが(多分元凶だと思ったからだと思われる)旗を捨てようとした。
でもビニールテープてぐるぐるに固定されていて、うまく旗を抜けない。
仕方ないので鋏を取ろうと一度部屋に戻り、ベランダの方を向き直ると
そこにおっさんが立っていた。
時空のおっさんを汚くしたような黒服のおっさん。無論禿げてる。
霊かどうかというより、そっちが怖かったので、慌ててガラス戸とおっさんの間に割り込んだ。
おっさんは身体越しに物色しながら、職質するような口調と表情で言った。
「びにーるてーぷ」
(!?もしかして隣に部屋の住人か?)一瞬そう思ったが、部屋に戻ってものの数秒も立ってない。
おっさんは勝ち誇ったようないやらしい笑みを浮かべて言った。
「盗ってったろ?」
「盗ってってない!!!」
はっと気づいて、ピシャーンと思いっきりガラス戸を閉めたら、おっさんは消えた。
改めて部屋中を探したが居ない。
少し後に勇気を出してベランダに出てみたが、おっさんも旗も(脚も)消えていた。
以上が昨日未明に経験した内容。
解らない点、というのは「脚の」ことではない。
またおっさんの目的は、相対したからハッキリ解る、おっさんは「部屋に入りこむ事」が目的だった。
また「脚」はそのための道具だったんだと確信している。
解らない点はなぜ「旗」ではなく、「びにーるてーぷ」なんだということ。
もし「びにーるてーぷ」をとってったら、どうなっていたんだろうか。
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