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『阪東橋近くのボロアパートに住んでた』【怖い話・短編】

怖い話・体験

元スレ: 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?353

【怖い話・短編】
【怖さ7/10】

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『阪東橋近くのボロアパートに住んでた』【怖い話・短編】【怖さ7/10】

92: 本当にあった怖い名無し 2019/01/20(日) 16:12:17.07 ID:FX4TwOXU0
8年くらい前、横浜に住んでたときの話。
日本大通りに職場があったんでバイクで通える距離の阪東橋近くのボロアパートに住んでたんだが、とにかく治安がよろしくなかった。
夜出歩けばアジア系の立ちんぼやらキャバのキャッチやら見るからにカタギじゃないおっさんやらがわんさかいるし、昼間は昼間で道端で泥酔してる爺さんやら大声で独り言を喋りながらスーパーで買い物してるおばさんやら、まあ変なのが沢山いたのよ。
そういうのと遭遇した際には、場所が場所だし仕方ないよなぁ、と半ば諦めの境地で全力でスルーしてたんだが、あの時エンカウントしたやつはヤバさのベクトルがちょっと違ってた。

夜、会社からの帰宅する途中だったな。
バイクを近場の駐輪場に停めてアパートへ帰る際、途中で狭い路地を抜けて行くと少しだけ近道になるんだけど、この路地、酔い潰れたおっさんが寝てたりすることが多いからあんまり普段は使わないようにしてたんだ。

その日は帰りが遅くて、会社出たのが深夜1時を回ってた。先輩方はまだ残って書類まとめてたが、若いのは帰っていいぞとの所長からのお告げで我々は速攻で撤収。

で、一刻も早くお家に帰りたくて駐輪場に高速でピットインした後、その路地に突入したんだが、入り口辺りから路地の中頃にある街灯横に黒い塊が置いてあるのが見えた。
遠目で見た感じは、大きめな黒いゴミ袋。かなり昔に絶滅したあれそっくり。
なんだろ?と思いながらテクテク歩いて近づいていくとゴミ袋辺りから変な音が出てるのに気づいた。
なんかニチャニチャ、とかそんな感じの生っぽい音がしてんの。
???と思いながら更に歩を進めるとゴミ袋が微妙に動いてる?

 
93: 本当にあった怖い名無し 2019/01/20(日) 16:12:57.28 ID:FX4TwOXU0
そこで更に気付いた。これ、ゴミ袋じゃなくて人間だわ。
しかも2人いる。片方は黒っぽいコート?を着た男?ぽいのが足をこっちに向けて倒れてるっぽい。
もう1人黒い服着た男か女かわからないでかい黒いのが、こっちに背を向けて男っぽいやつの上に座りこんで何かしてるっぽい。
ヤッてんのか!?とも思ったが下のやつ、靴の向きからしてうつ伏せだから違うっぽい?

意味がわからないし気味も悪かったが、当時の俺は疲れていた。そして土地に鍛え上げられて対不審者耐性があまりに高すぎた。
そのため「またかよ…」とか内心毒づきながら全力スルーを決意。更に歩を進め、2~3mくらいの距離まで近づいた時だった。
社有携帯が鳴った。
突然のコール音に俺びっくり。平時に聴くと大した音量じゃないけれど、静まり返った路地で鳴るとコール音って結構響くのな。

たぶん、あの上に乗ってたやつも驚いたんだろう。身体ごとこっちをぐるんって振り返った。

おっさんだったよ。眼鏡でちょっと小太りで黒いパーカーのフードを被ってナタっぽい得物を手に持ったおっさんだった。
口周りが黒っぽく汚れてて、ハァハァ犬みたいに白い息をしてて、眼鏡が街灯の照り返しで真っ白に見えたのを覚えてる。
そしておっさんがこっちを向いたときに、おっさんの身体で隠れてた下敷きの人が見えたんだけど、背中の上に白っぽい手が置いてあるのが見えた。黄色っぽい切り口がこっちを向いてたよ。

さっきまでの音と、おっさんの口の汚れとで、おっさんが何をしてたのか秒で悟ったわ。
これたぶん、食ってたんだよ。下敷きにした小柄な男っぽいやつを。たぶんあれ、よくいる酔い潰れた人とかだったんじゃないかな。

 
94: 本当にあった怖い名無し 2019/01/20(日) 16:14:02.62 ID:FX4TwOXU0
そこからは早かった。あまりの光景に一瞬硬直したものの、コンマ数秒で踵を返して全力で逃げ出す俺。
ただ、声が出ない。心底ビビると息が吐けなくなるとか初めて知ったよ。
背後からはたぶんおっさんのものであろう叫び声。ただ、明らかに人間が出す声じゃねえのよ。
例えるならドスを効かせたモスラの幼虫。ギシャーって感じ。

なんとかコンビニの灯りがあるとこまで逃げてきて後ろを確認して追ってきてないのを確かめたら、なんだかボロボロ泣けてきて、コンビニ前にしゃがみ込んで大号泣。側から見れば不審者の仲間入りだな。

で、泣いてるとまた社有携帯が鳴った。
電話の主はうちの先輩で使う書類が共有フォルダないんだけど、どこに保存したか知らない?という内容だった。
それどころじゃねえよ!と思いながらも泣きながら受け答えて電話終了。途中、泣き声なのを心配してくれたが、自分が見たものの頭の整理が追い付かず、なんでもないです、の一点張りで通した。

人と話してちょっと落ち着いたので、俺はその足で交番へ行くことにした。が、まさかの無人。
交番の中に無人の際はこちら、と書いてある電話があったのでかけてみたが、まさかの誰も出ず。横浜の警察は駄目だな。

結局その日は一人で家に帰るのも怖かったのでタクシーで桜木町の漫画喫茶へ行き朝を迎えてから帰宅。
翌日、朝イチで体調不良で欠勤する旨を会社に連絡、引っ越し先を探し、週開けには日吉へ転居した。

あの現場、というかあの界隈には以降一歩も近づいてないのでその後どうなったかは知らない。
カニバリズム殺人とかのニュースも無いし、あのおっさんまだいるのかなぁ。

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