【面白い話・短編】
【怖さ 5】★★★★★☆☆☆☆☆
『北関東最凶の心霊スポット』【面白い話・短編】
霊現象とか関係ないですし、皆さんの話に比べると全然小粒なのですが
俺にとっては洒落にならない話だったので、箸休め程度に聞いていただけると
幸いです。地名をはっきり書きすぎると簡単に場所特定されてしまいますので、
若干のフェイクが有ることをお許しください。
俺と馬鹿な友達数人は、夏になるとコンビニなんかで売ってる「●●心霊マップ」
みたいな本をナビに、きもだめし目的で心霊スポット巡りをよくやってました。
俺の地元は某有名な霊山の麓で、超有名な寺や神社が建ち並ぶ山間の小さな
町です。場所柄関東圏内では有数の、心霊スポットの宝庫ともいえるでしょう。
心霊マップには、近場にある自殺の名所の滝からちょっと車で遠出すればいける
幽霊が招くつり橋、事故死した女が佇むトンネルなど色々な場所が書かれて
いました。
久しぶりに聞いた
メコリメコリ
俺たちはそのうちに、行ける所は全部行き尽くしてしまい(俺は霊感のかけらもありません、
友達もないのでどの場所でも一度も霊体験をしたことはないです)次どこ行こうか?と
話していた時にある一人の友人(A君とします)が言ったのです。
「俺ネットでそういう場所集めて紹介してるブログ知ってる。北関東も割といっぱい
あった気がする」
彼はよく内容までは読んでいなかったので、あらためて俺がそのブログを検索して、次の
心霊スポットを探す役目を引き受けました。
そのブログは簡単に見つかりました。
東京在住の管理人が、東京を中心に関東から東北まで色々な心霊スポットに
実際に出向き、写真と感想を掲載しているブログでした。
それによると、北関東で最も邪悪な冷気が渦巻いている場所、というものがあり
俺は「すげえwwww久々に面白い場所いけそうwww」と逸る気持ちを抑えながら
リンク先をクリックしました。
タイトルだけでもおどろおどろしいものでした。
血に染まる川、事故死者の怨念渦巻く●●沢の~
確かこんな感じだったと思います。
きたばかりなのにエンストしまくり、エンジンかふかしっぱなしになってしまう等の
トラブル続出。頭も痛くなってきて「自分はこの霊場に招かれていない客なんだ』
と実感したそうです。
それをみて俺は「思い込みでそうなっちゃう奴もいるんだなー自称霊媒体質って
やつかw」と半ば馬鹿にして読んでいました。
しかし、ブログのその記事についているレスをみるとHPの常連らしき何人かも
「自分もそこに向かった時、ひどい耳鳴りがした」だの「某有名な橋をこえたときに
余所者は帰れ、って地の底から響くような低い声が聞こえた」だの、書いていました。
おいおい本当かよありえねーよ、そう思いながら読み進めていくとどこか、所々
ひっかかるのです。東京からその呪いの心霊スポットに向かう管理人の目線が
普段俺がよくみている場所をみているようで・・・。そういえば、俺の実家から歩いて
1分もしない場所に俺が生まれるずっと前に列車事故があって大勢の人が亡くなった
川があったな、と。そこで俺はようやく気が付きました。
この管理人が向かっている北関東最凶最悪の心霊スポットが俺の地元だって
ことに。
確かに列車事故で一度に大勢の方が亡くなりました、その前にも祭りの日に沢山の
子供達がよくわからない事故死を遂げたこともありました。
今の地名が、元々あまりよくない文字でそれを良い同じ読み方の漢字にかえた
らしいことも知っています
(たとえば鬼、という文字を同じ読み方で穏仁、にかえる みたいな)
バカじゃね、そんなのあるわけねぇじゃんと思いながら、だんだん俺は苛立ってきました。
丁度「ひぐらしのなく頃に」が流行りはじめた頃だったので、管理人さんは地元の
人間を不審な振る舞いを大袈裟に表現していました。
自分が通ると、それまで談笑していた老婆達が表情のない顔でじっと黙って観察
するとか。そりゃ東京者にはわからないかもしれないが、俺らの町では他からきた
お客さんは誰も彼も関係なく凝視対象です。悪気があってのことじゃないんです。
そして管理人さんの記事は一通りその沢を紹介した後で、最後にもっとも霊気が強く
近付くだけでも危険な場所、という事で1枚の写真を掲載しておわっていました。
数件の隣組と共に思い切り俺の実家が写ってました。
衝撃でした。コメント欄にも、しらねー奴から「みただけで寒気がした」とか
「この場所に怨念が渦巻いているのが雰囲気から伝わってきます、管理人様
体調を崩したりとかしてませんか?」とかかいてあって軽くヘコみました。
「この小屋で何か惨劇があったのは間違いないですね」とか。
ありえねえ、それは俺んちの鶏とウズラ小屋だっつの。
今はもうそのブログはアクセスしても、ありません(閉鎖だと思いますがもしかしたら
引越ししたのかも?)全然怖くない話ですみません、俺にとっての洒落にならない
話でした。
ここまで読んでくださった方どうもありがとうございました。
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